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 「労災隠し」とは、「故意に労働者死傷病報告を提出しないこと」、「虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を提出すること」をいい、このような「労災隠し」には罰則を適用して厳しく処罰を求めるなど厳正に対処することとしています。

 労働者私傷病報告・・・事業者は、労働災害等により労働者が死亡又は休業した場合には、遅滞なく、労働者私傷病報告等を労働基準監督署長に提出しなければならない。(労働安全衛生規則第97条)

          

 厚労省はこのようなポスターなどで労災隠しの排除を呼びかけ、事業主や労働者に対する周知・啓発を行っていますが、このような対策に力を入れるということは、現実に労災隠しが多く存在することの裏返しでもあります。

 ではなぜ、企業は労災隠しをするのでしょうか。

 @下請企業が元請け企業に迷惑をかけたくないという意識
 労災隠しは特に建設業に多く見られます。
 建設業の場合、発注者から元請けが仕事を請け負い、下請け、孫請け・・・と上流から下流に請負という形で仕事が流れていきます。
 
 建設現場で労災事故が起きた場合、下請企業の従業員が被災した場合でも、元請けの労災を使うことになります。
 元請けの労災となれば、元請け企業の安全管理責任も問われますし、メリット制が適用されていれば、労災保険料が上昇することになります。
 弱い立場にある下請企業は、元請け企業への配慮やから、労災隠しを行うことがあります。

 A仕事を請け負えなくなるという恐れ
 労災事故を頻発するような企業は、入札停止などで仕事を請け負えなくなることがあります。
 仕事を請け負えなくなるという恐れから、労災隠しを行うことがあります。

 B企業の責任を問われる
 労災事故を頻発させていたり、重大な労災事故を発生させたりした場合は、通常、労働基準基準監督署の現地調査が行われます。
 企業イメージの低下を避けるためや責任逃れのために労災隠しを行うことがあります。

 C労災保険に加入していない
 労災保険は従業員を1名でも雇用すれば加入義務がありますが、加入していない企業も少なからず存在します。
 労災を私傷病と偽り、健康保険で治療させる労災隠しを行うことがあります。

 「隠す」方がメリットがあるという判断から労災隠しは行われますが、隠していたものが表に出た場合、正直に対応した場合よりもはるかに大きな損害が生じます。

 労災事故が起きないよう安全管理を徹底することが重要であり、万が一事故が発生した場合でも、隠すのではなく、その事故原因を分析して同じような事故を発生させないという姿勢が、結局は企業にとって一番のメリットになるのではないでしょうか。

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