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会社と従業員の雇用契約は、従業員の私生活まで効力が及ぶものではありません。 従って、原則、会社は従業員の私生活上の行為に対して、懲戒処分などの規制はできないことになります。 しかし、私生活上のトラブルが、職場秩序に直接関係するようなトラブルや、会社の社会的評価を毀損するようなトラブルであれば、懲戒処分の対象となり得ます。 例えば、電車内で痴漢をしたなどの犯罪行為した場合、飲酒運転をして人身事故を起こした場合などが該当するでしょう。 私生活トラブルに対して懲戒処分を課すには、「職場の秩序・風紀を乱したか」「会社の社会的信用を毀損したか」を慎重に検討しなければなりません。 上記のマンガ例を検討すると、現時点では「会社の信用を社会的信用を毀損した」とまでは言えません。 「会社の社会的信用を毀損した」とは、犯罪を引き起こし、メディアに報道された等が該当するでしょう。 「職場の秩序・風紀を乱したか」が一番のポイントになりますが、何をもって「職場の秩序・風紀を乱した」というのか、この判断は結構難しいものです。 同じ行為であっても、会社の業種や風土、本人の地位や今までの素行などで、職場秩序に与える影響は異なります。 「職場秩序への影響」は、ケースバイケースで主観による判断をせざるを得ない部分もありますが、懲戒処分に関しての判例や、今までに行われた懲戒処分等を勘案して、納得性が持てる処分にすることが大切です。 上記のマンガ例では、普段から問題ない社員であれば、現時点での懲戒処分は難しいと思いますが、悪尾氏は従来から素行不良なので、懲戒処分となる可能性もあるでしょう。 ●その他、懲戒処分をする際の注意点 @就業規則に規定する 懲戒処分を課すためには、どのような行為が懲戒事由に該当するのか、そしてどのような懲戒処分が課されうるのか、あらかじめ就業規則に定めておかなくてはなりません。 A権利濫用に注意 労働契約法15条により、懲戒権の権利濫用は無効となりますので、こちらも注意が必要です。 例えば、今まで問題がなかった社員の軽微な非違行為に対して、その処分を懲戒解雇処分にした場合等は、権利濫用で無効となります。