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職場におけるセクシュアルハラスメントには「対価型」と「環境型」があります。 「対価型セクハラ」とは 労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給など(労働契約の更新拒否、昇進・昇格の対象からの除外、客観的に見て不利益な配置転換など)の不利益を受けること。 ● 典型的な例 ・事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため 、その労働者を解雇すること。 ・出張中の車中において上司が労働者の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため、その 労働者について不利益な配置転換をすること。 ・営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言して いたが、抗議されたため、その労働者を降格すること。 「環境型セクハラ」とは 労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。 ● 典型的な例 ・事務所内において上司が労働者の腰、胸などに度々触ったため、その労働者が苦痛に 感じてその就業意欲が低下していること。 ・同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布した ため、その労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。 ・ 労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示してい るため、その労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。 ●判断基準(厚労省のセクハラ対策パンフレットから引用) セクハラの状況は多様であり、判断に当たり個別の状況を斟酌する必要があります。 また、「労働者の意に反する性的な言動」および「就業環境を害される」の判断に当たっては、労働者の主観を重視しつつも、事業主の防止のための措置義務の対象となることを考えると一定の客観性が必要です。 一般的には意に反する身体的接触によって強い精神的苦痛を被る場合には、一回でも就業環境を害することとなり得ます。継続性または繰り返しが要件となるものであっても、「明確に抗議しているにもかかわらず放置された状態」または「心身に重大な影響を受けていることが明らかな場合」には、就業環境が害されていると判断し得るものです。 また、男女の認識の違いにより生じている面があることを考慮すると、被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当です。 さて、上記判断基準を踏まえると、老夢課長の発言はセクハラになるのでしょうか? セクハラになるとすれば「環境型セクハラ」になりますが、セクハラ発言がこの時だけなら、継続性、繰り返しがなく、就業する上で看過できない程度の支障が生じるとは思えないので、セクハラにはならないでしょう。 (セクハラにはならなくても、この発言により、老夢課長の人間性を疑われる可能性はありますが・・・) セクハラなどのハラスメントは職場内のコミュニケーション不全の結果、起きることがよくあります。 同じ発言でも、その発言者により、ハラスメントと感じたり、感じなかったりするものです。 要するに、信頼関係のない人や、嫌いな人が言うことには反発を覚えるということです。 もちろん、対価型セクハラや身体に接触すること、反復継続した性的言動では、どんなに信頼関係があってもハラスメントとなりますが、一般的に問題ないとされる言動でもすぐ、「セクハラだ!」や「パワハラだ!」と言われる方は、まずは職場内のコミュニケーションから見直し、信頼関係の構築を図る必要があるでしょう。 ●男女雇用機会均等法のセクハラ対策 ●均等法は、セクハラ対策として雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務づけています。(均等法11条) ●講ずべき具体的な措置の内容および措置の例示は指針(「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」)において9項目示されています。 ●男性に対するセクハラも措置の対象です。 |
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